読む絵本「色のない世界」

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『色のない世界』

 

 

それはここではない世界での話…

 

遠い昔に人々の争いに怒った神様が世界から“色”」を奪い去りました

 

“色”を失ったその世界では、“争う心”だけでなく、“思いやる心”や“勇気”、様々な感情が薄れていきました…

 

 

 

―色のない国―

 

その子はとある町に住む少女。本を読むのが大好きな女の子。今日も町の図書館で本を読んでいました。

本の中には少女の知らない「色」という言葉がありましたが、少女はその“色”がどんなものなのかは知りませんでした。少女はその“色”が何なのかを知りたくてたくさん本を読みました。

 

ある日、いつものように図書館で本を探し、ふと本棚の奥に目を向けると1冊の日記を見つけました。その日記はとても古くだいぶ傷んでいました。

 

 

その日記は昔世界を旅していた旅人のもののようでした。日記の中には昔神様が世界から“色”を奪ったことや、世界に“色”を取り戻す方法が書かれていました。

 

「虹のいし…?」

 

世界に色を取り戻すにはこの町の外れにある森の奥にある“虹のいし”が必要であると書かれていました。

 

その日記を読んでから少女は“虹のいし”のことで頭がいっぱいです。いつかは自分で虹のいしを見つけたいと思うようになりました。

 

それから少しの時が過ぎ、少女はついに自分の足で“虹のいし”を探すことに決めました。朝早く、少女はリュックに荷物を詰め込みお父さんやお母さんを起こさないように静かに家を飛び出しました。

 

 

「夜には帰ってくるからね」

 

 

森の中はとても静かでしたが、危険がいっぱい。油断はできません。少女は日記に書かれていた地図を頼りに森を進んでいきます。

 

 

 

 

しばらく歩いていくと目の前には大きな崖に1本のつり橋が伸びていました。崖はとても高く、底が見えません。

 

 

少女はためらう気持ちもありましたが、虹のいしはこの先。しばらく悩んだ末少女は勇気を振り絞って1歩を踏み出します。

 

 

橋はギシギシと音を立て左右に揺れます。そのたび少女は橋につかまり揺れが収まるのを待ちながら進んでいきます。

 

ついに橋を渡り終えた少女はほっと一息。しかし夜までには町に戻らなければいけません。少女は再び歩き始めます。

 

しばらく歩いていると今度は道端で座り込んでいる不思議なおじいさんを見つけました。

 

「お嬢さん…悪いんだが、なにか…食べるものを持っていないかね…?」おじいさんは小さな声で唐突に話かけてきました。

 

 

少女は悩みます。食べるものは森の途中で食べるつもりだったパン2つと水筒だけ。おじいさんに分けてしまうとおなかが空いてしまいます。

 

少し悩みましたが少女はおじいさんにパンを1つあげることにしました。

 

「ありがとう…」

 

おじいさんは小さくもはっきりと少女にお礼をしました。
おじいさんに挨拶をすると少女は先へ進んでいきます。“虹のいし”はもう少しです。

 

さらに森を進んでいくと、今度は先からガタガタっと音が聞こえてきます。

 

恐る恐る木の陰から先を覗くと先には溝に車輪がはまった荷車と、それを必死に押している男の人がいました。

「車輪がはまって抜け出せないのさ。」少女が男の人に声をかけると、男性は困った顔をして答えました。

 

「良ければ荷車を押して手伝ってくれないかい?」

 

男の人に頼まれて少女は悩みます。虹のいしまでもう少しで焦る気持ちもありました。でも困っている人はほっておけません。少女は荷車を後ろから押します。

 

ガシャっと音がして車輪は溝から抜け出せました。「ありがとう」男の人は少女にお礼を言うと少女とは別の道を荷車を押しながら進んでいきました。少女はさらに先を進んでいきます。

 

 

虹のいしまでもう少し。

 

森もだいぶ奥深いところまで進んできました。日記の地図が正しければこの辺に“虹のいし”があるはずです。

 

少女は周囲をきょろきょろとしていると少し先にかすかに光る場所がありました。

 

 

光の方へ少しずつ近づいていくと、そこには祠のような場所とその中に一つの箱が置いてあります。

 

「あった…!」本当にあったのだと少女の心の中はうれしさでいっぱいになりました。

 

 

しかし…

 

少女が箱に近づこうとしたときその周囲に奇妙なモノがいることに気づきました。それは、人のような、人ではないような姿形をしており、全身真っ黒、顔は白く穴が開いているように見えました。少女はとっさに危険な雰囲気を感じました。

 

少女はその場を動くことができなくなりました。怖い気持ちと“虹のいし”への好奇心。ふたつの気持ちが入り乱れてどうすることもできません。

 

その時です。どこからともなく声が聞こえてきました。

 

「ここで何をしている?」

 

それは遠くから聞こえるような、頭の中で響いているような…。

ただ一つ分かったことはこの声はそこの“モノ”が語り掛けてきているのだということでした。

 

少女は逃げ出したい気持ちを抑え、“モノ”に向けて語り掛けます。

 

「虹のいしを探しに来ました。“色”が何なのかを知りたいのです。」

少女の声は震えていました。

 

すると“モノ”は答えます。

 

「“色”は争いの元になる。昔人々の争いを収めるために神様は“色”を奪ったのだ。おまえはその争いを再び起こしたいのか?」

 

少女が図書館で読んだ古い本に書いてあったお話は本当のことなのだと、少女は思いました。

 

少女は少し答えに戸惑いましたが話し始めます。

 

「争いがあったことは知っています。ただ、今生活している町の人たちは元気もなく、ただ毎日を過ごしています。昔の人々は争いもあったかもしれませんが、それでも思いやりや協力する心など、やさしい気持ちも持っていたと思います。本に書いてあった人たちや、“色”のある生活をみてみたいのです。」

正直な気持ちでした。

 

“モノ”は少女の話を聞き少し考えたあと「お前のような子は初めてみた。実はな…お前が森に入ってからずっとお前のことをみていたのだ。つり橋の恐怖に打ち勝ち、腹の空いた老人にパンを分け与え、車輪のはまった商人を手伝った。勇気、やさしさ、協力する心がある。まさにお前には虹色の“意思”があるようだ。よかろう。お前には“色”を与えようではないか。」

 

“モノ”は祠の奥から箱を取り出し、少女に差し出しながら話を続けます。

 

「虹の“意思”を持つお前がこの箱を開けることで世界には“色”が取り戻されることになる。しかし、色が取り戻され再び人々の争いが激しくなるようなら世界はまた白黒の世界となる。それでもいいか」

 

 

「…いいです。」少女は答えます。

 

箱を受け取った少女はカバンの中に箱を詰め込みます。

 

“モノ”は不思議そうに少女を見つめ、「ここで開けるのではないのか?」と問いかけます。

 

少女はここで開けるつもりはありませんでした。

「“色”を見る前にもう一度この世界を見ておきたいの。このモノクロの世界を。」少女はリュックを背負いもと来た道に足を向けます。

 

「それでは。」“モノ”に一言挨拶をし、少女はもと来た道を帰ります。その足は意気揚々としています。モノクロの世界を楽しむように。

 

 

 

―おわりー

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